国税庁の年末調整用紙の種類と書き方|所得計算や記入例・添付書類まで解説
最終更新日:2026年10月9日
この記事でわかること
- ✔ 国税庁の年末調整用紙(申告書)4種類の特徴と国税庁サイト等での入手方法がわかる
- ✔ 躓きやすい「基礎控除・配偶者控除等申告書」の所得見積額の計算手順と書き方が学べる
- ✔ 扶養控除や保険料控除の書き方、集計期間(いつからいつまで)や確定申告との違いを整理できる
毎年秋から冬にかけて勤務先から配られる国税庁の年末調整用紙。提出にあたって記入方法や所得金額の計算手順に悩む方は少なくありません。
特に「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書」では、年収から給与所得控除を差し引く見積もり計算が必要となり、記入ミスが発生しやすいポイントです。
本記事では、国税庁の年末調整用紙の種類とダウンロード方法をはじめ、申告書ごとの具体的な書き方や所得計算の手順をわかりやすく解説します。
国税庁が定める年末調整用紙の種類と入手方法
年末調整で提出する書類には、国税庁が定めた複数の申告書用紙があります。
従来は紙の用紙に記入して提出するのが一般的でしたが、最近ではオフィスステーションなどの年末調整Webシステムで申請する企業も増えています。
まずは、自分がどの用紙を記入・提出する必要があるかを把握することが大切です。
年末調整で提出する主な申告書一覧
年末調整で取り扱う主な申告書用紙は次のとおりです。
申告書ごとに申請する控除の種類や対象者が異なりますので、一覧で確認しましょう。
主な年末調整用紙の概要一覧
| 申告書用紙名称 | 主な申告内容 | 添付が必要な主な書類 |
|---|---|---|
| 扶養控除等申告書 | 扶養親族、障害者、勤労学生等の情報 | 障害者手帳の写し、親族関係書類(国外居住時)など |
| 基礎・配偶者・所得金額調整控除申告書 | 本人の所得推計、配偶者控除の適用 | 配偶者の収入を証明する書類(必要な場合のみ) |
| 保険料控除申告書 | 生命保険料、地震保険料、iDeCoなど | 各保険会社発行の控除証明書、小規模企業共済等掛金払込証明書 |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除(2年目以降) | 住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書 |
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書:配偶者や扶養親族の有無、障害者控除などを申告する基本的な用紙です。
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書:本人の所得見積額や配偶者控除の適用を申告する用紙です。
- 給与所得者の保険料控除申告書:生命保険料、地震保険料、社会保険料、iDeCo等を申告する用紙です。
- 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書:住宅ローン控除(2年目以降)を受ける際に提出する用紙です。
国税庁ウェブサイトからの用紙入手とオフィスステーション等の電子化
年末調整の用紙を書き損じたり紛失したりした場合は、国税庁のウェブサイトからPDFファイルをダウンロードして印刷することができます。
また、勤務先がWebシステムを導入している場合、画面上の案内に従って入力することで紙の記入を代替できます。
手続き方法ごとの特徴は次のとおりです。
- 国税庁サイトからの入手:PDF形式で公開されており、手書き用および入力可能なファイルが配布されています。
- Webシステムでの入力:オフィスステーション等のシステムを利用する場合、設問に答える形で控除額が自動計算されます。
- 紙の原本提出:Web入力の場合であっても、証明書等の紙の原本提出を求められるケースがあります。
基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書の書き方と所得計算
「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」は、多くの人が書き方に迷う用紙です。
本人の年収から給与所得の見積額を計算し、配偶者控除の適用判定を行う手順を理解する必要があります。
具体的な手順を踏まえて正確に記入しましょう。
本人の給与所得・所得金額の見積額計算方法
この申告書では、今年1月1日から12月31日までの給与収入の見積額を算出し、そこから給与所得金額を計算して記入します。
給与収入から給与所得を算出する計算式は次のとおりです。
給与収入から給与所得への換算早見表(概算)
| 給与収入(年収)の見積額 | 給与所得の計算式 | 給与所得の見積額 |
|---|---|---|
| 162万5,000円以下 | 給与収入 - 55万円 | 107万5,000円以下 |
| 162万5,001円〜330万円 | 給与収入 × 60% + 10万円 | 107万5,001円〜208万円 |
| 330万1円〜660万円 | 給与収入 × 80% - 44万円 | 220万1円〜484万円 |
| 660万1円〜850万円 | 給与収入 × 90% - 110万円 | 484万1円〜655万円 |
年収500万円の場合の具体例と記入手順
例えば、今年度の給与収入(年収)の見積額が500万円の方の場合、具体的な手順は次のようになります。
給与所得の計算式に当てはめて金額を算出します。
配偶者控除・配偶者特別控除の判定手順と記入例
配偶者控除または配偶者特別控除を受ける場合は、配偶者の給与収入から同様に配偶者の合計所得金額を計算します。
本人と配偶者の双方の所得区分を判定表に当てはめ、適用される控除額を算出します。
判定から記入までの具体的な流れは次のとおりです。
- 配偶者の所得見積額の計算:配偶者の給与収入(例:パート収入103万円なら所得48万円)を算出します。
- 判定欄のチェック:本人の所得区分(A〜C)と配偶者の所得区分(①〜④)を掛け合わせて控除額の区分を決定します。
- 控除額の記入:該当する「配偶者控除の額」または「配偶者特別控除の額」の欄に数値を記入します。
扶養控除等申告書と保険料控除申告書の具体的な書き方
年末調整で最も基本的な2種類の用紙について、書き方と注意点を解説します。
記入ミスがあると正しい控除が受けられなくなるため、手元にある証明書等の数値を確認しながら記入を進めてください。
具体的な記入手順は次のとおりです。
扶養控除等(異動)申告書の記入例と確認ポイント
「扶養控除等申告書」は、その年の最初の給与支払日までに提出する書類ですが、年末調整時に変更事項がないか確認・訂正を行います。
家族構成の変更や扶養親族の所得変動がある場合は正しく更新する必要があります。
主な記入項目とチェック項目は次のとおりです。
- 氏名・住所・マイナンバー:本人および源泉控除対象配偶者・控除対象扶養親族の情報を正確に記入します。
- 扶養親族の所得見積額:16歳以上の扶養親族の合計所得見積額が48万円以下(給与収入なら103万円以下)であることを確認します。
- 障害者・勤労学生・ひとり親・寡婦の該当:該当する項目がある場合はチェックを入れ、詳細な事情を記入します。
保険料控除申告書・県民共済などの記入ルール
「保険料控除申告書」は、自身で支払った生命保険料や地震保険料、社会保険料、iDeCo(小規模企業共済等掛金)を申告する用紙です。
各保険会社や共済から届く「控除証明書」に記載された金額をそのまま転記します。
保険料控除の主な区分と記入時の注意点は次のとおりです。
保険料控除申告書の主な記入区分と適用上限
| 控除の区分 | 対象となる保険・共済 | 所得税の最高控除額 |
|---|---|---|
| 一般生命保険料 | 定期保険、終身保険、県民共済など | 4万円 |
| 介護医療保険料 | 医療保険、がん保険、介護保険など | 4万円 |
| 個人年金保険料 | 個人年金保険料控除特約付きの保険 | 4万円 |
| 地震保険料 | 地震保険、火災保険に付帯する地震特約 | 5万円 |
- 県民共済の記入:都道府県共済ハガキに記載の「差引ご申告額(割戻金を差し引いた後の額)」を記入します。
- 保険料の集計:新契約・旧契約の区分に注意し、申告書上の計算式に当てはめて控除額を算出します。
- iDeCo(小規模企業共済等):払込証明書に記載された年間掛金全額を「小規模企業共済等掛金控除」欄に記入します。
年末調整の給与集計期間と添付書類の確認
年末調整を正しく行うためには、「いつの収入を対象とするか」という集計期間のルールと、提出に必要な証明書類を正しく整理することが不可欠です。
基準を誤ると税額計算が不正確になり、再調整や確定申告が必要になる場合があります。
集計基準と書類添付のポイントを押さえましょう。
収入の集計期間(支給日基準)と中途入社時の源泉徴収票
年末調整の対象となる給与・賞与の集計期間は、その年の1月1日から12月31日までの「支給日(実際に支払われた日)」を基準とします。
働いた期間(締め日)ではなく支給日で判定するため、12月働いた分が翌年1月に支給される場合は翌年分の対象です。
集計に関する主な注意点は次のとおりです。
- 支給日基準の徹底:12月中に支給される給与やボーナスは当年分、翌年1月支給の給与は翌年分となります。
- 中途入社・転職者:前職の会社が発行した「給与所得の源泉徴収票」を現職に提出し、合算して集計します。
- 前職の源泉徴収票がない場合:前職の源泉徴収票が間に合わない場合は、年末調整ではなく確定申告で精算します。
各種控除証明書の添付方法と電子データの扱い
保険料控除や住宅ローン控除を申請する際は、申告書用紙に証明書類を添えて提出する必要があります。
電子データ(xmlファイル)を利用した手続きも広がっています。
提出方法の比較と注意点は次のとおりです。
- 紙の証明書ハガキ:ハガキ原本を「保険料控除申告書」の裏面などに台紙で貼り付けて提出します。
- マイナポータル連携等:保険会社等から電子発行された控除証明書データ(xml)をWebシステムにアップロードします。
- 原本提出の原則:Webシステムで入力した場合でも、紙で発行された証明書は会社へ現物を提出する必要があります。
年末調整で控除しきれない場合の確定申告と還付・節税シミュレーション
年末調整は会社員の多くの税務手続きを完了させますが、すべての控除が年末調整で適用できるわけではありません。
年末調整でカバーできない控除がある場合や副業収入がある場合は、確定申告を行うことで納めすぎた税金を取り戻せます。
自分に合った節税対策を確認しましょう。
医療費控除や副業所得がある場合の確定申告手続き
年間で一定額以上の医療費を支払った場合や、副業で所得が生じた場合は確定申告が必要です。
確定申告によって還付を受けられる主なケースは次のとおりです。
- 医療費控除・セルフメディケーション税制:1年間(1月〜12月)に支払った医療費や対象医薬品購入費が一定額を超えた場合に適用されます。
- 住宅ローン控除の1年目:住宅を購入・新築・増改築した最初の年は確定申告が必要です(2年目以降は年末調整で処理)。
- ふるさと納税(寄附金控除):ワンストップ特例を利用していない場合や6自治体以上に寄附した場合は確定申告を行います。
- 副業所得の申告:給与所得以外の副業所得が20万円を超える場合は所得税の確定申告が必要です(20万円以下の場合は住民税申告が必要)。
年末調整の節税額の仕組みと見落とし防止診断
控除額そのものがそのまま手元に戻るわけではなく、控除額に自身の税率を乗じた金額が節税効果となります。
配偶者控除の漏れやiDeCo・ふるさと納税などの節税対策を活用できているか、診断ツールでチェックしてみましょう。
よくある質問
Q. 県民共済の共済掛金は、年末調整用紙のどこに記入すればよいですか?
A. 「給与所得者の保険料控除申告書」の「生命保険料控除」欄の中にある「一般の生命保険料」の項目に記入します。共済から届く控除証明書ハガキに記載された「差引ご申告額」を記入してください。
Q. 基礎控除申告書の「給与所得の見積額」はどこを見ればわかりますか?
A. 直近の給与明細や賞与明細から年間の給与収入の見積額を算出し、国税庁が定める給与所得の計算式(または申告書裏面の換算表)に当てはめて計算します。
Q. 12月分の給与が翌年1月10日に振込支給される場合、年末調整の対象収入に含まれますか?
A. 含まれません。年末調整の収入基準は「支給日(実際に支払われる日)」となるため、翌年1月に支給される給与は翌年分の年末調整(および所得税)の対象となります。
まとめ
- ▶年末調整で提出する用紙には「扶養控除等申告書」「基礎・配偶者控除等申告書」「保険料控除申告書」等があり、国税庁サイトからのダウンロードやWeb入力が可能です。
- ▶基礎控除・配偶者控除申告書では、年収見積額から給与所得控除を差し引いた「給与所得の見積額」を正しく計算して記入することが重要なポイントです。
- ▶集計対象となる給与収入は1月1日〜12月31日の「支給日基準」で判定し、医療費控除や1年目の住宅ローン控除など年末調整で処理できない項目は確定申告を行います。