給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書の書き方と記入例|年末調整の手順・計算上限を解説
最終更新日:2026年10月31日
この記事でわかること
- ✔ 「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」のフォーマット構造と具体的な記入例がわかる
- ✔ 単に残高へ控除率を掛けるだけではない「控除対象借入限度額」や「所得制限」などの注意点が理解できる
- ✔ 金融機関から届く残高証明書の転記方法や、共働き・連帯債務・他控除との併用ルールを把握できる
マイホームを住宅ローンで購入した場合、入居1年目は確定申告が必要ですが、2年目以降は勤務先の年末調整で「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」の手続きを完結できます。
毎年秋頃に税務署から届く「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」は専門用語が多く、どの欄に何を転記すべきか迷いやすい書類です。
本記事では、申告書の各記入欄の視視覚的なイメージを交えた書き方や記入例に加え、控除額計算の注意点である借入限度額や所得制限について詳しく解説します。
住宅ローン控除を年末調整で受ける前提条件と準備書類
住宅ローン控除を年末調整で適用するためには、一定の前提条件を満たし、必要な添付書類を揃える必要があります。
まずは手続きを行うにあたって確認すべき要件と、10月〜11月頃に手元に届く2つの重要書類を確認しましょう。
年末調整で適用を受けるための主な要件
年末調整で住宅ローン控除の適用を受けるための主な要件は次のとおりです。
条件を満たしていない場合は年末調整での控除が受けられないため、必ず事前に確認してください。
- 初年度(1年目)の住宅ローン控除について税務署で確定申告を完了していること
- 控除を受ける年の12月31日まで引き続き対象となる住宅に本人が居住していること
- その年の合計所得金額が一定額以下であること(2022年以降入居の場合は原則2,000万円以下、2021年以前は3,000万円以下などの所得制限あり)
- 対象となる住宅ローンの返済期間が10年以上残っていること
年末調整で提出する2つの必須書類
年末調整の際に勤務先へ提出する必須書類は次のとおりです。
送付元や送付時期が異なるため、紛失しないよう注意して保管してください。
住宅ローン控除の年末調整に必要な提出書類
| 書類名称 | 発行元 | 到着時期と特徴 |
|---|---|---|
| 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 兼 年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書 | 所轄の税務署 | 控除2年目の10月〜11月頃に、適用終了年分までの用紙がまとめて送付される |
| 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 | 融資を受けた金融機関 | 毎年10月〜11月頃に銀行や住宅金融支援機構などから郵送または電子交付される |
「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」の見方と書き方・記入例
税務署から送付される申告書は、1枚の用紙が上下2つのブロックに分かれている特殊なフォーマットです。
下段には確定申告時の情報があらかじめ印字されているため、その内容を参照しながら上段の各記入欄を埋めていきます。
申告書フォーマットの全体構造(上段・下段の役割)
申告書用紙の全体構成と役割は次のとおりです。
構造を理解しておくことで、どこに何を転記すべきかが明確になります。
申告書用紙の構造と役割
| 区分 | 正式名称 | 記載内容と記入の要否 |
|---|---|---|
| 上段部分 | 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 | 【本人が記入】勤務先情報、自身の氏名・住所、年末残高、控除額の計算結果などを記入するエリア |
| 下段部分 | 年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書 | 【税務署が印字】家屋の取得対価、家屋・土地の面積、所有持分、確定申告時の情報が印字されているエリア |
項目別の具体的な記入手順と転記ルール
申告書上段の主要な記入枠と、それぞれの転記元および記入手順は次のとおりです。
金融機関から届いた「残高証明書」と申告書下段の「証明書」を手元に用意して作業を行ってください。
上段申告書欄の具体的な記入方法と転記元一覧
| 申告書の欄名 | 記入する内容 | 参照・転記元資料 |
|---|---|---|
| 給与支払者(勤務先)欄 | 勤務先の名称(会社名)および所在地(本社住所)を記入 | 勤務先からの年末調整案内 |
| あなたの氏名・住所欄 | 自身の氏名・フリガナ・マイナンバー・現在の居住住所を記入 | 本人情報 |
| 新築又は増改築等に係る借入金等の年末残高(①〜③欄) | 「住宅のみ」「土地のみ」「住宅および土地」の該当欄に年末残高を記入 | 金融機関発行の「残高証明書」の末尾残高(または証明額) |
| 家屋又は土地等の総取得対価・敷地面積等(④〜⑨欄) | 家屋や土地の購入金額や面積をそのまま転記 | 用紙下段に印字されている「証明書」の該当数字 |
| 最高限度額・居住用割合の適用欄(⑩〜⑭欄) | 取得対価と残高のいずれか少ない方の金額を転記し、居住用割合(通常100%)を乗算 | 下段の印字情報および上段の計算式 |
住宅ローン控除額の計算手順と上限ルールの注意点
ご自身の年収や住宅の環境性能区分に応じた具体的な控除額や、所得税・住民税からの控除上限を詳細にシミュレーションしたい場合は、当サイトの自動診断ツールをご活用ください。
連帯債務やペアローンで購入した場合の申告書記入例と注意点
夫婦や親子でペアローンを組んでいる場合や、1本のローンを連帯債務で契約している場合は、単独名義での購入と記入手順が異なります。
自身の負担割合に応じた正しく正確な年末残高を把握して申告書へ記入する必要があります。
ペアローンと連帯債務の違いと記入方法
ペアローンと連帯債務における申告書の主な違いと記入方法は次のとおりです。
残高証明書に記載されている金額をそのまま使えるかどうか、契約形式を確認してください。
契約形式別の申告書記入方法の比較
| 契約形式 | 残高証明書の発行形態 | 申告書への記入方法 |
|---|---|---|
| 単独ローン | 本人のみ名義の証明書が発行される | 証明書に記載された年末残高をそのまま申告書に記入 |
| ペアローン | 夫婦それぞれに個別契約の証明書が発行される | 自身の契約に対応する証明書の金額をそのまま申告書に記入 |
| 連帯債務 | 全体の借入残高が記載された証明書が1枚(または同額で2枚)発行される | 全体残高に「自身の負担割合」を乗じた金額を計算して申告書に記入(備考欄に相手方の情報も記載) |
連帯債務における自身の年末残高の計算式
例えば、全体年末残高が4,000万円で夫婦の負担割合が50%:50%の場合、夫の申告書には「4,000万円 × 50% = 2,000万円」を記載します。
夫婦のどちらに控除を寄せるべきか、あるいはどのような負担割合が節税上有利かを判定したい場合は、夫婦向けの節税診断ツールが役立ちます。
保険料控除やiDeCo・ふるさと納税を併用する場合の計算注意点
年末調整の時期には、住宅ローン控除申告書だけでなく「給与所得者の保険料控除申告書」も一緒に提出します。
また、iDeCoやふるさと納税などの他制度を併用している場合、住宅ローン控除の税額控除枠に影響を与えることがあるため注意が必要です。
保険料控除申告書の基本と同時提出の手順
保険料控除申告書で申請できる主な控除枠と、所得税における最高控除限度額は次のとおりです。
保険会社から10月頃に届く控除証明書の金額を転記して手続きを行います。
保険料控除の区分と所得税の最高控除額
| 控除区分 | 対象となる主な保険商品 | 所得税の最高控除枠 |
|---|---|---|
| 一般生命保険料控除 | 定期保険、終身保険、養老保険など | 最高4万円(旧契約は5万円) |
| 介護医療保険料控除 | 医療保険、がん保険、介護保険など | 最高4万円 |
| 個人年金保険料控除 | 個人年金保険料税制適格特約が付いた保険 | 最高4万円(旧契約は5万円) |
| 地震保険料控除 | 居住用建物・家財を対象とする地震保険 | 最高5万円(住民税は最高2.5万円) |
住宅ローン控除とiDeCo・ふるさと納税の併用による枠溢れ
併用時における最適なふるさと納税の上限額や節税枠の最大化について調べる場合は、併用計算に対応した自動診断ツールをご利用ください。
- 所得税で控除しきれなかった住宅ローン控除枠は、翌年の住民税から自動的に控除される(ただし住民税にも上限額あり)
- ふるさと納税でワンストップ特例を利用する場合と、確定申告を行う場合で住民税からの控除の計算手順が異なる
- iDeCoやふるさと納税を併用する際は、住宅ローン控除が無駄にならない寄付上限額を把握しておくことが重要
年末調整で提出を忘れた・間違えた場合の対処法(還付申告)
「年末調整の提出期限に申告書が間に合わなかった」「金融機関の残高証明書を紛失していた」という場合でも、諦める必要はありません。
年末調整で住宅ローン控除を申請できなかった場合でも、自分で確定申告(還付申告)を行えば、払い過ぎた税金を取り戻すことができます。
還付申告ができる期間と手続きの流れ
確定申告(還付申告)の基本ルールと提出先は次のとおりです。
年末調整が終わった後でも、対象年の翌年1月1日から5年間であればいつでも手続きが可能です。
還付申告の基本ルールと必要書類
| 項目 | 内容・手続きルール |
|---|---|
| 請求可能な期間 | 対象となる年の翌年1月1日から5年間(過去の年分も遡って請求可能) |
| 提出先 | 所轄の税務署(郵送、窓口持参、またはスマホ・PCからのe-Tax申請) |
| 必要書類 | 確定申告書、源泉徴収票(控え)、住宅ローン控除申告書、残高証明書など |
診断ツールを活用した税額の確認
手続きを忘れていた場合や、自身の所得税・住民税からどれくらいの金額が還付されるかを知りたい場合は、各種無料診断ツールを利用することをおすすめします。
税金の払いすぎを防ぎ、正しい控除を受けられる状態になっているかをチェックしてみましょう。
よくある質問
Q. 税務署から届いた「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」を紛失した場合はどうすればいいですか?
A. 所轄の税務署へ「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書交付申請書」を提出することで再発行が可能です。税務署の窓口で直接申請するか郵送で請求できますが、手元に届くまで1〜2週間程度かかる場合があるため、気づいた時点で早めに手続きを行いましょう。
Q. 住宅ローン控除額は「残高×控除率」の計算結果がそのまま全額引かれますか?
A. 必ずしも全額が引かれるわけではありません。住宅の種類ごとに定められた「控除対象借入限定額(上限額)」が存在し、残高がそれを超える場合は限度額をベースに計算します。また、本人の合計所得金額制限(2,000万円または3,000万円以下等)や、自身の納めている所得税・住民税の額が上限となるため、実際の節税額が計算値より小さくなることがあります。
Q. 連帯債務の場合、夫婦それぞれの申告書にはどのように金額を書けばいいですか?
A. 金融機関から届いた全体残高に対して、各自の負担割合(例:50%など)を掛け合わせた金額を自身の年末残高として申告書に記入します。申告書の上段備考欄には、連帯債務者の氏名や勤務先、負担割合などを記載する必要があります。
まとめ
- ▶住宅ローン控除2年目以降の申告書は、下段の印字データと金融機関の残高証明書を参照しながら上段へ転記して記入する。
- ▶控除額の計算には住宅の基準に応じた借入上限額や合計所得金額の制限があり、単純な残高×控除率がそのまま控除されない場合がある。
- ▶万が一年末調整で提出を忘れた場合でも、翌年1月1日から5年間であれば確定申告(還付申告)で控除を取り戻すことができる。