住宅ローン控除がなくなるとどうなる?税額増加の仕組みと手取りを維持する対策
最終更新日:2026年10月19日
この記事でわかること
- ✔ 住宅ローン控除が「なくなる」理由(個人ごとの期間満了と税制改正による要件変更)が理解できる
- ✔ 所得税速算表の控除額や復興特別所得税を考慮した税額増加の計算手順が身につく
- ✔ 控除終了後に手取り負担を抑えるための具体策と当サイトの無料診断ツールの活用法がわかる
「住宅ローン控除がなくなる噂を聞いたけれど本当?」「10年や13年の控除期間が終わったら税金は年間いくら増えるの?」とお悩みではありませんか。
住宅ローン控除の終了後は、それまで減額されていた所得税や住民税が本来の負担に戻るため、手取り額が年間で数万〜数十万円単位で減少します。
本記事では、所得税速算表の控除額や復興特別所得税も含めた正確な計算ロジックを解説し、手取りを維持するための具体的な節税手順を提示します。
住宅ローン控除は本当に「なくなる」?2つの理由と制度の仕組み
「住宅ローン控除がなくなる」という話には、個人の控除期間終了と税制改正による制度変更という2つの背景があります。
ご自身がどちらの状況に当てはまるのかを正しく整理することが負担増へ備える第一歩となります。
ここでは「個人の適用期間満了」と「国の税制改正」という2つの視点から、控除がなくなる背景をわかりやすく解説します。
1. 個人の適用期間(10年または13年)の満了
住宅ローン控除は永久に受けられる制度ではなく、入居年や住宅性能に応じて10年または13年という期限が定められています。
適用期間が満了すると翌年以降は税額控除がゼロになり、本来納めるべき税額に戻ります。制度自体の廃止ではなく、個人単位での控除終了を意味します。
居住開始年別の適用期間と控除終了後の影響は次のとおりです。
居住開始年と適用期間の目安一覧
| 入居区分 | 適用期間 | 控除終了後の影響 |
|---|---|---|
| 2013年以前に入居 | 10年間 | 控除期間終了により減税枠ゼロ |
| 2019年10月〜2020年末入居 | 13年間(特例) | 14年目から本来の税負担へ戻る |
| 2022年以降に入居(新制度) | 13年間(新築・省エネ) | 控除率0.7%で適用後に終了 |
2. 税制改正による制度縮小の影響
税制改正により控除率が従来の1.0%から0.7%へ引き下げられました。
また、省エネ基準を満たさない住宅が控除対象外となるなど、適用要件が厳格化されました。過去と比べて減税枠が小さくなったことが「控除がなくなった」と言われる大きな要因です。
税制改正による主な変更点は次のとおりです。
- 控除率の見直し:借入残高の1.0%から0.7%へ減額
- 対象住宅の制限:2024年以降は省エネ基準適合が必須化
- 借入限度額の引き下げ:住宅の環境性能に応じて段階的に縮小
住宅ローン控除終了で税金はいくら増える?計算手順と仕組み
住宅ローン控除が終わると具体的に税金がいくら増えるのかを知るには、正確な税額計算の仕組みを理解する必要があります。住宅ローン控除は算出された税金から直接差し引く「税額控除」です。
控除が終了すると所得税と住民税で受けていた減税効果が同時に失われます。そのため年間での手取り減少額は想像以上に大きくなります。
ご自身の手元で税額増加分を把握するための基本的な手順は次のとおりです。
- 手順1:源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除可能額」と「控除済額」を確認する
- 手順2:所得税から引ききれなかった額(住民税からの控除分)を確認する
- 手順3:住民税決定通知書の「税額控除額(住宅借入金等特別控除)」を確認する
- 手順4:所得税・復興特別所得税の増加分と住民税の増加分を合算する
1. 所得税における税額増加の計算手順(速算表と復興特別所得税)
所得税は課税所得金額に税率を掛けた後、課税所得に応じた「控除額」を差し引いて「算出所得税額」を計算します。単純に税率を掛けるだけではない点に注意してください。
さらに、算出所得税額に2.1%の復興特別所得税が加算されます。住宅ローン控除は、この所得税額および復興特別所得税額から直接差し引かれます。
所得税の速算表(税率と控除額の組み合わせ)および復興特別所得税の計算ルールは次のとおりです。
所得税の速算表(課税所得別の税率と控除額)
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円 〜 194万9,000円 | 5% | 0円 |
| 195万円 〜 329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
| 330万円 〜 694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
| 695万円 〜 899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
2. 住民税における税額増加の計算手順
所得税から引ききれなかった住宅ローン控除額は、一定の限度額まで住民税(所得割原則10%)から差し引かれます。
住民税からの控除上限額は「前年分の課税総所得金額等の5%(最高9万7,500円)」と定められています。控除終了後はこの住民税の減税額もゼロになります。
住民税の計算における確認ポイントは次のとおりです。
- 控除上限額:前年分の課税総所得金額等の5%(最高9万7,500円)
- 適用タイミング:控除終了翌年の6月徴収分から住民税額が増加
- 確認書類:毎年5〜6月に届く「住民税決定通知書」の税額控除欄
3. 税額増加の具体例(年収500万円・課税所得220万円の場合)
具体例として、年収500万円(課税所得220万円)、年末ローン残高2,000万円(控除額20万円)のケースで計算してみましょう。
課税所得220万円の場合、算出所得税額は「220万円×10% - 9万7,500円 = 12万2,500円」となり、復興特別所得税(2.1%)を加えると約12万5,000円になります。
控除可能額20万円のうち約12万5,000円が所得税等から引かれ、残り約7万5,000円が住民税から引かれていました。控除終了後はこの合計20万円(所得税分+住民税分)がそのまま税額増加となります。
【年収帯別】住宅ローン控除終了後の税負担増加の目安
住宅ローン控除終了後の税額増加額は、年収や課税所得、借入残高によって大きく変動します。年収が高い人ほど適用される所得税率が高くなるため、控除終了による影響額も大きくなります。
また、ローン残高が多い方ほど控除上限枠をフル活用していたため、終了後の負担感が増す傾向にあります。
年収別の税額増加(手取り減少)の標準的な目安は次のとおりです。
年収別・住宅ローン控除終了後の税額増加(目安一覧)
| モデル年収 | 年末ローン残高 | 所得税等の増額分 | 住民税の増額分 | 年間税額増加目安 |
|---|---|---|---|---|
| 年収400万円 | 2,000万円(控除額20万円) | 約5.3万円 | 約9.75万円 | 約15.05万円 |
| 年収600万円 | 3,000万円(控除額30万円) | 約20.25万円 | 約9.75万円 | 約30.0万円 |
| 年収800万円 | 4,000万円(控除額40万円) | 約30.25万円 | 約9.75万円 | 約40.0万円 |
1. 年収600万円世帯の具体的な負担増の内訳
年収600万円でローン残高3,000万円の場合、年間の控除可能額は最大30万円(控除率1.0%の場合)となります。
算出所得税額と復興特別所得税の合計が約20万2,500円の場合、所得税で約20万2,500円、住民税で上限の9万7,500円が控除されていました。
控除が終了すると年間約30万円、毎月の手取り額にして約2万5,000円が減少することになります。
2. 税額増加が反映されるタイミングと注意点
給与所得者の場合、所得税の負担増は毎月の源泉徴収や年末調整での還付額減少として即座に表れます。
一方で住民税の増額分は、控除終了翌年の6月以降に給与天引きされる住民税額から反映されます。時期がずれて手取りが減るため、家計管理上の注意が必要です。
負担増に備えるための時期別チェックリストは次のとおりです。
- 控除最終年の12月:年末調整で最終回の還付額を確認する
- 控除終了年の1月:毎月の給与明細で所得税の源泉徴収額を確認する
- 控除終了翌年の6月:住民税決定通知書で天引き額の増加を確認する
住宅ローン控除終了後に手取りを維持する7つの節税対策
住宅ローン控除という税額控除が終了しても、他の「所得控除」を積極的に活用することで課税所得を下げ、税負担を大幅に抑えることができます。
所得控除を積み重ねると課税所得が減少するため、所得税だけでなく翌年の住民税も同時に安くなります。
会社員や公務員でも今すぐ実践できる代表的な7つの節税対策と活用手順は次のとおりです。
1. iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用
iDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。老後資金を作りながら確実な節税効果を得られます。
例えば毎月2万3,000円(年間27万6,000円)を拠出した場合、所得税率10%・住民税率10%の人であれば年間約5万5,200円の税負担を軽減できます。
iDeCoの主な節税メリットは次のとおりです。
- 掛金の全額が所得控除の対象になり節税できる
- 運用益が全額非課税で効率的な資産形成が可能
- 受取時も退職所得控除や公的年金等控除が適用される
2. ふるさと納税(寄附金控除)の活用上限拡大
ふるさと納税は実質2,000円の自己負担で地方自治体に寄附を行い、返礼品を受け取りつつ税額控除を受けられる制度です。
住宅ローン控除の適用中は控除枠が重なって限度額が縮小していた可能性がありますが、住宅ローン控除終了後はふるさと納税の本来の上限額までフル活用できるようになります。
3. 生命保険料控除・地震保険料控除の見直し
加入している生命保険や介護保険、個人年金保険の控除証明書を年末調整や確定申告で正しく提出しましょう。
各区分で最高4万円、合計で最高12万円の所得控除が受けられます。地震保険料控除(最高5万円)とあわせて申告漏れがないか確認してください。
保険料控除の区分と上限額一覧は次のとおりです。
生命保険料控除の区分と控除上限額
| 控除の種類 | 所得税の最高控除額 | 住民税の最高控除額 |
|---|---|---|
| 一般生命保険料控除 | 4.0万円 | 2.8万円 |
| 介護医療保険料控除 | 4.0万円 | 2.8万円 |
| 個人年金保険料控除 | 4.0万円 | 2.8万円 |
| 合計最高適用枠 | 12.0万円 | 7.0万円 |
4. 医療費控除・セルフメディケーション税制の活用
1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、確定申告によって医療費控除を受けられます。
医療費控除の基準額は「10万円」または「総所得金額等の5%」のいずれか低い方の金額です。
5. 扶養控除や障害者控除の漏れチェック
19歳以上23歳未満の子供がいる場合は特定扶養親族として63万円の控除が適用されます。また別居している親へ仕送りを行っている場合も扶養控除の対象になります。
65歳以上で要介護認定を受けている親族がいる場合、自治体から「障害者控除対象者認定書」を取得することで障害者控除(27万円〜40万円)を受けられる場合があります。
扶養関連の主な控除一覧は次のとおりです。
- 特定扶養親族(19歳〜22歳):控除額63万円
- 一般扶養親族(16歳以上):控除額38万円(70歳以上同居老親は58万円)
- 障害者控除対象者認定:要介護認定等により障害者控除(27万円〜)が適用
6. 共働き世帯における夫婦間の控除最適化
共働き世帯では、扶養控除や医療費控除、生命保険料控除をどちらの申告にまとめるかによって世帯全体の節税額が変わります。
税率の高い(所得が高い)配偶者の申告に控除をまとめることで、世帯全体での税金を最も低く抑えることが可能です。
7. 給与所得者の特定支出控除の活用
会社員でも職務に必要な資格取得費や研修費、図書費などが「給与所得控除額×1/2」を超えた場合、特定支出控除として確定申告できます。
適用には勤務先の証明書と領収書の保管が必要となります。
該当する費用の種類は次のとおりです。
- 対象費用:通勤費・転居費・研修費・資格取得費・図書費・衣服費・交際費等
- 適用条件:特定支出の合計額が「給与所得控除額×1/2」を超えること
- 必要手続き:給与支払者の証明書取得と確定申告書への添付
各種控除の申告手順と書類管理・判断基準
住宅ローン控除の終了後に各種所得控除を利用する際は、正確な申告手順と証明書類の保存管理が不可欠です。誤った申告や書類不足があると税務署から否認されるおそれがあります。
特に医療費控除の対象範囲や領収書の保管方法、確定申告の手続きについて正しく理解しておくことが大切です。
税務トラブルを防ぎスムーズに手続きを行うための重要ポイントは次のとおりです。
1. 医療費控除の対象費用と対象外費用の判断基準
医療費控除は病気やケガの治療に直接必要な費用が対象です。美容目的や予防目的の費用は対象外となります。
通院交通費や歯科治療費などの区分と具体的な判断基準は次のとおりです。
医療費控除の対象・対象外の具体的な区分一覧
| 項目 | 対象の可否 | 具体例・判断基準 |
|---|---|---|
| 公共交通機関運賃(電車・バス) | ◯ 対象 | 通院に必要な実費。領収書不要で日付・ルートのメモ保管で可 |
| タクシー代 | △ 条件付き対象 | 陣痛時や重傷で電車・バスが利用できない緊急時のみ対象 |
| 自家用車のガソリン代・駐車場代 | × 対象外 | 通院に使用しても自家用車にかかる費用は一切対象外 |
| 診断書の発行費用(診断書代) | × 対象外 | 自己都合や保険会社提出用の書類発行費用は対象外 |
| 治療目的の歯列矯正・インプラント | ◯ 対象 | 咀嚼障害等の治療に必要な費用(美容目的は対象外) |
2. 医療費控除の領収書保管とスマホe-Tax申告手順
医療費の領収書は確定申告書への添付は不要ですが、自宅で「5年間」保管する義務があります。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」でマイナンバーカードとマイナポータル連携を行えば、医療費データを自動取得してスマホから簡単に申告できます。
スマホ申告の具体的な手順は次のとおりです。
- 手順1:マイナポータルアプリをダウンロードしマイナンバーカードでログインする
- 手順2:国税庁作成コーナーで「マイナポータル連携」を選択し医療費データを自動取得する
- 手順3:バス運賃など自動連携されない交通費を手動で追加入力する
- 手順4:申告データを送信し、使用した領収書やメモを自宅で5年間大切に保管する
3. 保険料控除証明書の紛失対応と保管方法
年末調整や確定申告に必要な保険料控除証明書は毎年10月〜11月頃に届きます。
紛失した場合は保険会社のマイページやカスタマーセンターから再発行手続きが可能です。近年のマイナポータル連携を活用した電子データの取得もおすすめです。
控除終了後の節税診断と今後の進め方
住宅ローン控除がなくなると、年間で数万〜数十万円単位の税負担が増加するため、放置すると家計の手取りが大きく減少します。
しかし、iDeCoやふるさと納税、医療費控除や扶養控除の見直しを組み合わせることで、増える税金を最小限に抑えることができます。
当サイトの無料診断ツールを使って、ご自身に最適な節税プランや未活用の控除を確認してみましょう。
よくある質問
Q. 住宅ローン控除が終わったら、住民税はいつから高くなりますか?
A. 住宅ローン控除の適用期間が終了した翌年の6月徴収分から住民税が高くなります。たとえば13年目の適用が終わった場合、14年目の6月に給与天引きされる住民税から減税枠(最高9万7,500円)がなくなり、手取り額が減少します。
Q. 医療費控除で通院のために使った交通費はどこまで対象になりますか?
A. 電車や路線バスなどの公共交通機関運賃は、患者本人および付添人の分も含めて全額対象になります(通院日・ルートのメモ保管で可)。一方、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。タクシー代は急病等で公共交通機関が利用できない場合に限り対象となります。
Q. 生命保険料控除証明書を紛失した場合はどうすればよいですか?
A. ご契約されている保険会社の契約者マイページやカスタマーセンターから再発行の依頼が可能です。Web上で電子データ(XMLファイル)をダウンロードできる保険会社も増えており、マイナポータル連携等にも活用できます。
Q. 住宅ローン控除終了後、過去の医療費控除やふるさと納税を遡って申告できますか?
A. はい、可能です。医療費控除やふるさと納税などの還付申告は、対象となる年の翌年1月1日から「5年間」遡って行うことができます。過去に申告していなかった場合でも、領収書や証明書があれば遡って還付を受けることが可能です。
まとめ
- ▶住宅ローン控除が「なくなる」のは制度の廃止ではなく、個人の適用期間(10年・13年)満了や税制改正による要件見直しが理由
- ▶所得税は課税所得に応じた控除額(速算表)や復興特別所得税(2.1%)を考慮して計算し、控除終了後は住民税(最高9.75万円)とあわせて負担が増加する
- ▶控除終了後の手取り維持には、iDeCo(全額所得控除)・ふるさと納税・医療費控除・扶養控除の最適化など所得控除のフル活用が有効
- ▶当サイトの無料診断ツールを活用すれば、自分自身の条件に合わせた最適な節税額や手取り維持策を簡単に算出可能